事例紹介 Case
Client
株式会社RYODEN
ビル・工場設備データの統合監視システム「Remces」のデータ分析基盤を2ヶ月の短期間で構築
半導体や工場自動化システムの商社、株式会社RYODEN様は、空調・照明などのビル設備とコンプレッサー・生産設備などの工場設備をクラウドにて統合監視・制御できる独自システム「Remces(レムセス)」を構築、運用しています。同社が顧客に対し「Remces」を使ったコンサルティングサービスを提供するにあたり、当社は「Remces」のIoTデータを分析するための基盤をSnowflake、dbt Cloud、Prefectを用いて2か月間の短期間で導入しました。
背景・課題
- 早期にPoCを開始するための短期間での基盤構築
- PoC実施後、本番稼動を考慮したデータガバナンスや、データマネジメントの進め方
- SnowflakeをはじめModern Data Stack製品のベストプラクティスでの構築
- ビジネス拡大に合わせてデータ種類の追加を容易とした設計の考慮
- 運用保守を見据え発展性のある製品の選定、検証、評価支援
提案・実施内容
- SnowflakeでのDWHの設計
- 時系列データの処理などIoTならではの要件に対応
- 拡張性の高いデータ活用を可能にするdbtでの設計構築を短期間で実施
「Remces」を使用したサービス提供に向け、拡張性の高いデータ分析基盤構築が必要に
「Remces」は、空調機器や照明、工場のコンプレッサーなどメーカーの異なるさまざまな設備機器のIoTデータを沿革で一元監視・制御できるクラウド型のシステムです。RYODEN様では、この「Remces」を活用しビルや店舗環境データを収集・分析することで光熱費の無駄を省き効率的なビル・店舗運営を可能にする経費削減コンサルティングサービスを計画。全国展開する大手小売企業への導入を目指し、サービス提供に向けシステムを内製で構築していました。
しかし、システムを構築するなかでパフォーマンス、拡張性、アクセス制御、データガバナンスなどの問題が発生しており、分析対象を今後拡大していくために既存システムでは対応できないと判断。新規でマルチクラウドデータウェアハウスのSnowflakeを中心としたデータウェアハウスの整備を決定しました。そこで、有効な技術相談をできるパートナーとして当社が参画することとなりました。
2ヵ月間という短期間でのデータ分析基盤の構築
パートナー選定の遅れから、予定していたPoC開始まではわずか2ヶ月という状況のなか、構築を開始。新技術へのキャッチアップ、要件に見合うツール選定と適切な組み合わせといった統合的な知見をいかし、米国では主流になりつつあるModern Data Stackを構築。Snowflake、dbt Cloudを活用し、測定機器ごとの時系列データ処理などIoTならではの要件に対応しながら、ベースとなる機能については期間内に構築を完了することができました。また、導入する店舗が増えた場合や店舗によって測定項目が異なる場合などの拡張性を考慮したワークフローも、Prefectによる導入検証を完了しています。
これにより、スケジュール遅延が起こらなかったことでPoC期間を有効利用でき、分析担当者から出る要望への対応や、より便利に使用できる機能の追加に注力することができました。
Snowflakeデータレイク設計とアクセス制御設計・構築
Snowflakeのベストプラクティスに則したメダリオンアーキテクチャーを採用し、効果的なデータ構造を実現。任意アクセス制御(DAC)とロールベースのアクセス制御(RBAC)を組みあわせた、ペルソナにあわせた適切な権限設定による効率的かつ安全なデータ分析基盤環境を整えました。
dbt Cloudによるデータモデル拡張の実現
分析対象店舗の増加によるデータモデルの拡張を実現するために、dbt Cloudを活用して店舗ごとに異なる分析項目をもつデータテーブルの作成が容易に行える仕組みを構築しました。これにより、データエンジニアの人的コストや運用面での負荷を大きく軽減することが可能となりました。
Prefectによるデータパイプラインのワークフローを柔軟に設定
dbtで開発をする部分だけでなく、データを収集する部分からまとめたジョブ連携を行うために、さまざまなワークフローを検討をしたうえでPrefectによるユーザーフレンドリーなUIでのワークフロー定義、実行スケジュールの詳細設定を実施。エラーハンドリングや再実行を容易に設定できるため、信頼性の高いデータパイプラインを構築することが可能になりました。
拡張性の担保や運用保守サポートを通じて、サービスのさらなる発展を支えていく
現在、複数店舗のデータを取得・分析できる段階まで来ており、分析データ量が増えた場合にも対応できる状態となっています。今後も、「Remces」をはじめとする独自製品・サービスを通じたRYODEN様の顧客課題解決を支援していきます。
株式会社RYODEN 戦略技術センター 戦略技術部長 兼デバイスシステム事業本部 第三技術部長 北出様よりコメント
RYODENでは持続可能な社会を実現するために、次世代の成長事業の創出を行うための施策のひとつとしてデータ利活用プラットフォームの内製化を進めています。このプラットフォームの構築にあたり、メソドロジック様の卓越した支援を受けることができました。この新しい取り組みにより、さまざまな社会課題に積極的に取り組み、未来をかたちづくるイノベーションを実現する確固たる基盤が築かれました。
株式会社RYODENについて
RYODENは、「人とテクノロジーをつなぐ力で“ワクワク”をカタチにする」をパーパスとし、脱炭素や製造業スマート化、医療IT化、スマートアグリなどの多様化する社会課題と向き合い、1947年の創業以来培ってきたナレッジと4つの発(発掘・発想・発案・発進)を通じて、これまでにないイノベーションを創造します。2000社を超えるパートナー企業様、海外11の国と地域をあわせて21拠点、国内27拠点のグローバルネットワークにおける人のチカラと、基幹事業であるFAシステム、冷熱システム、ビルシステム、エレクトロニクスの技術を融合して新たな価値を創造し続け、商社の枠を超えた「事業創出会社」として環境・安心・安全でサステナブルな社会の実現に貢献します。